読了 星界の戦記 V 宿命の調べ

星界の戦旗V: 宿命の調べ (ハヤカワ文庫JA)

星界の戦旗V: 宿命の調べ (ハヤカワ文庫JA)

ネタばれにはしないつもりなので念のため。

約十年、いつになるかと、思い続けていたが、ついに出た。

以前であれば、毎月新巻情報は当たっていたし、見逃すことなどあり得無かったが、月日とは残酷で、かつては無尽蔵に思えた気力さえ、出し惜しみをしなければならなくなった。

いや、それすらも時間との兼ね合いで更にひどいことになることもしばしば。

しかし、それでも、追いかけていたシリーズの新巻が出ると、読み。かつての気力が(少しではあるが)息づいているように感じられるのはよいことだ。

星界とはいつからの付き合いだろう。まだ学生であった筈だ。

作品世界は、生体コンピューターとしての種族アーブ(これは、その遠い祖を日本人に置くスペースコロニーから、遺伝子組み替えによって産み出された青い髪の不老長寿の種族......不死ではない)の支配する帝国の統治の中の、恐らくは人類最後の戦争を描いた戦記であり、その背景として距離の問題を平面宇宙とそこを移動することによる超光速航行によって成立させている。

日本人を遠い祖に...と特筆したのには訳があり、作品世界に出てくる異様な外国語は、既存の言語ではなく、日本語から外来語を取り除いた上......すなわち大和言葉をベースに再構成した言語......の、極端に未来の設定であるゆえに、言語学的考察の上で人工的に訛らせてある言語(アース)であり、その言語資料だけでも公式非公式に様々なのでそういうところも(当時若かった)私の興味を引いたところ。

作者が死にかけるような病気を患ったことは、あとがきで知った。なんとか元気であってほしい。

前巻の最後であまりといえばあまりの急展開があったのでずっとどうなるか気になっていたのだが、こうなるのか。

そういや、あの外交官、どうなったんだろう? もう一度あとで読み直そう、どこかで触れてるかも。

休日の贅沢『読書』でした。