原子力発電は、本当に安価か?

id:kyrina:20060806 でも書いたが、原子力発電について、もう少し。
コメントでも貰ったが、「安価な原子力発電は……必要悪である」と言うような意見が散見される。
しかし、本当に原子力発電は安価なのだろうか?

    1. ウランの供給は石油に比べて安定している
    2. 石油と違ってCO_2 を出さない
    3. 高速増殖炉によって、燃料を増やすことが出来る。

あたりが、よく言われることだろうか。
これが本当に言われているおりに事実だと思っているのん気な人はどれくらい居るんでしょうか?


まず、1ですが、真っ赤な嘘です。少なくとも日本ではウランは人形峠で取れることは取れますが……需要を賄えていませんね? 実体としては輸入しているわけです。
輸入を前提として居る割には、なぜか「準国産」のエネルギーに位置されています。
さて、「準国産エネルギー」とは何なのか?

http://www-atm.jst.go.jp:8080/dic_2242_01.htmlによれば、高速増殖炉が前提のようです。
さて、高速増殖炉で増えるプルトニウムを前提に供給を行おうとすると、どうなるのでしょうか?

当初はウラン235原子力発電を行い、ウラン238プルトニウム239に変換されて行き、いずれはプルトニウム239による原子力発電を続けながら、継続的にプルトニウムの供給を行う……これが高速増殖炉の前提であり。ここから回収されたプルトニウムを他の(高速増殖炉ではない)原子炉に供給してウラン235と混合して使う方式が「プルサーマル」方式です。

一見、良さそうに見えます(もちろん、廃棄物のことは度外視してですが)
この、「燃えないウラン238を燃えるプルトニウム」に転換しながら次の燃料を産む方式を「核燃料サイクル」といいます。


さて、この核燃料サイクル、完成しているのでしょうか?
実は(というほどでもなく、周知の事実ですが)、日本以外の国は、全部あきらめています。
つまり、目処の立っていないものを前提として「安全だ」とか「供給が安定している」だとか、果ては「安価だ」と言っているわけです。

さて、核燃料サイクルの前提条件として、使用済み核燃料から「プルトニウム239」を抽出する作業があります。

なぜか、日本のプルトニウムはその大半が、海外にあるようです。
理由は簡単ですね。国内にその技術が無いからです。


現在はフランスで処理していますが、使用済みの核燃料を引き受ける先がありません。
それで六ヶ所村の再処理工場を急ごうとするわけですが、はっきり言って、先の道筋の立たないいい加減なことをやっているに過ぎないと思うのは素人考えでしょうか?


6日にも書きましたが、既に人間の制御できる限界を桁外れに超えた量の廃棄物があります。
寿命が高々100年あるかないかの人間が、31万年かそころは(最低限…最低限ですよ?)維持しないと安全を守れないゴミを抱えているわけです。
仮に少子高齢化が続いて、後100年程度で日本が回らなくなった場合、このゴミ、誰がどうするんでしょうね?
アメリカに期待しちゃダメですよ? ブッシュの方針
ƒjƒ [ƒXNo.62ƒuƒbƒVƒ ‚ÌŒ´Žq—͍ж\‘z)によって、もっと無茶していますから。


「経済的に安価だから、悪だと知りながらも、現状では必要悪と認めるしかない」というのは、そもそも立脚点が誰かに騙されているわけです。安価じゃないんですから……

その他の参考

http://soap.s216.xrea.com/umu/mt/archives/ieeiaeae/