原発はなぜ危険なのか。

私が書くまでもなく、何人もの方が書いているであろうことを、それでも書きます。

原子力の安全性安全性と、何度もいろんな人が叫んでいますが、何をもって「安全」と言えば良いのでしょう?
稼働中に事故が起こるか否かでしょうか?


そんなのは、当然以前の問題であって、それすら守れていない現状は論外。「原発は安全です」と3.11の前,それだけ絵空事を並べ立てて騙してきたのでしょう? 事故が起これば,今度は「想定外」と言い責任を逃れようとしてきたわけですが,原発が「安全」でなければそもそも立地条件が整わないから「安全ということに設定しておいた」だけであり、これは、概念上の「直線」(幅が無く長さが無限の存在)や「剛体」(いかなる外圧が加わろうとも変形しない物質)が現実には存在しないのと同様、計算上の近似としてのレトリックでしかないのであり、それが適用できるのはその「想定」の範囲内であって、過去のデータから見るならば地震の震度であっても、津波の高さであっても「想定」が低く見積り過ぎていたことは明らかなわけですが、安全を政治的判断における「責任」で解決した「首相」は、もはやその「責任」を放棄なさっておいでです。

また、その議論の中でもほとんどが稼働中の原子力発電所が事故を起こすかどうかという点にのみ絞られ(それすらもクリアしないのはお笑い種ですが)、使用済燃料の保管の問題はほとんど無視されるばかり。


むしろ問題はこちらだと私は思っています。

ここさえクリアできるなら、極論すれば原発推進派に変わってもいいくらいです。


映画『100,000年後の安全』公式サイト
ここの「2012.06.28」参照

遠い未来の出来事? でも、私たちの子孫がそこに居るわけです。彼らの責任を野田首相は負えるのでしょうか?
いえ,もはや負わないと明言されて居ますが,そうすると政治家の責任というのはどういうものなのでしょうか?

私たちが向き合わなくてはならない核廃棄物は短いもので50年、長い物で数万年以上の管理期間が必要です。

数万年ですよ? 

それに対して、日本で一番長い首相の在職期間は佐藤栄作首相の2798日(1964-1972)でした。最近の政権に比べると感動的なほど長いですな、とはいえ、比較するのも莫迦らしいくらい長さが違うわけです。
そんなに長いこと管理するゴミですが、ウランの枯渇までの年限はと言うと、後60年ほどというのが定説の様です.

すると、数万年の管理期間のうち、後60年が過ぎた以降は、まるで原子力発電の恩恵なしに、危険な管理だけを押し付けられる子孫たちが残されるわけですが、自分が死んだあとや、死にそうな時より後のことは,どうでもいいですか?

数万年というと長すぎるので,もう少し具体的に。

あなたの子供や孫は、直接に,この件の被害者です。
彼らからすべての権利を奪い去って、危険なゴミの管理に従事させるどんな権利が私たちの世代にあるのでしょう?

どうか、もう一度考えてください。

電力供給を考える.

twitterでも「#電力供給を考える」と言うタグで呟いて居ますが、仮に原子力発電が危険だと電力会社が認めたとしてですね、廃止させたいと考えたとします。でもそれすると会社がつぶれるという現実が目の前にあった場合、潰せますかね? 自分の会社。

じゃぁ、原発止めても潰れない保証があれば、動きはどうですかね?

なぜ原発止めると潰れるかというと、前提が核燃料リサイクルを前提に電力会社の資産が決められており,再処理されたプルトニウム、または再処理待ちの使用済核燃料が「資産」として計算されていることにあるでしょう。


あれ、資産ですか? 本当にそう思っていますか?
傍目からは、どう考えても厄介なゴミなんですが。違うんですかね? 現状では電力会社も政府も銀行もアレを資産だという前提で動いていますが、核燃料リサイクルが正式に認められなくなった途端(限りなく,もう認められていない気はするんだけど,まだ断言はしないところは、この辺の問題があるからでしょう)、アレは負債となります。


処分困るよねぇ。捨てるに捨てられないしねぇ。野田さんに責任持って全部引き取ってもらってお庭で数万年見張りをしていてもらいたい所ですが、サイボーグになっても無理でしょうし、管理能力もなさそうだし、困ったものです.

ちなみに、上で書いているのはいわゆる最終処分になった状態の後の管理年限でして,そこまでに至るまでにだいぶ長い期間冷却しないとその状態に持ち込めません。
再生したプルトニウムを既存のウラン燃料と混合して用いるいわゆるプルサーマル型の原子力発電.これだとウランの枯渇までの60年という制約を大きく越えて運転が可能そうです.やった!!

ということで、じゃぁ、もう少し安心して原子力を使える……のかな?

プルサーマルで使ったMOX燃料は地層処分の前に500年の地上保管が必要。つまり、原発現地にずっと保管!! taked4700

こんな情報に出くわしてしまっても,安心できますかね?

福島第一原子力発電所の4号プール、あれ、危なっかしいですね。野ざらしですからね。
まさか、発電書の屋上にあんなもん作ったのも驚きですが(しかも今,冷却できないそうですが)、もし、あの状態で500年置いてからじゃないと、他に移動できないよといわれたらどうです?

500年前っていったら、日本は何時代でしたかねぇ? アメリカ大陸が(再)発見されたころで,日本は室町時代でしょうか? 当時の政策とか公約とか、なんならマニフェストに当たるようなものにどんなものがあったかご存知の方はいらしたら教えてほしいのですが、当時原子力について何て言って居たんですかね?

そんなものは当時無かった? ごもっとも。考えるのバカらしい時代設定だ? あぁ、あなたが正しいです。
じゃぁ、どうして500年後の事を考えずに発電所の敷地内に500年も保管する方法を考えつくんですかね?
こういうのを無責任という野田と思いますが、如何がでしょう?


でも、それが怖いと思っても止められない電力会社のしくみを、冒頭に書いたわけで……


法律を変えて何らかの救済措置をとりつつ、新方式の代替発電の方法を優先的に高い資産価値を与え、核廃棄物を各電力会社の資産から、国家に移し替えて国が管理するしか無いだろうと踏んでいます。

本当は政治家だって(原子力問題をまともに考えている人なら)誰でも判っているはずだと思います。

自分の懐具合しか考えない方とか、政権内で生き残るためにいやいや賛成票を投じたなどという方々が理解可能な頭をお持ちかどうかまでは知りません。期待もしていません。


ただ、頭のある国民を向いていると自負されている議員の皆様方にお願いします。
なるべく早く、考えて見てください。あなたの子、孫も必ずその被害に遭うのですから……あなたが死んだ後ではあるでしょうが、考えて見てください.