終わりの始まり

このみなみななみさんおよびにしかわしげのりさんの「これから戦争なんて無いよね?」を読んだ。昼に書いたように、これはその感想……というか、そこから触発された考えのまとめである。


このタイトルの強烈さ、判るだろうか?


このまま放っておけば戦争は「ある」という答えになるのが前提のタイトルである。(正確には、無いようにするために……かな?)

実はこの本は、しばらく前から気になってはいたものの、内容がある程度
予測できたので、他の本を優先させてしまっていたという経緯がある。

が、やはり、読まずに感想は書けないし、手に取りやすい、本であることは確かなので。買ったのだ。


ここ近年の、この国の圧倒的な右傾化は凄まじいものがある。


言論統制有事法制靖国神社の扱い、国民投票への準備(国民投票の過
半数が「有効投票の過半数」なんて莫迦な話は、論外の更に外)、改憲の議論などなど……あきれるほどである。

具体的には
国民投票法案

上記のリンクの第九十九条2項を見ていただきたい。

第一六四回

衆第三〇号

   日本国憲法の改正手続に関する法律案
第九十九条 

中央選挙管理会は、前項又は第百三十五条第六項後段の報告を受けたときは、直ちに有効投票の総数(憲法改正案に対する賛成の投票の数及び反対の投票の数を合計した数をいう。以下同じ。)、憲法改正案に対する賛成の投票の数及び反対の投票の数並びに憲法改正案に対する賛成の投票の数が有効投票の総数の二分の一を超える旨又は超えない旨を官報で告示するとともに、総務大臣を通じ内閣総理大臣に通知しなければならない。

通常の選挙だと、当落の判定は、投票総数に対してどれだけの得票があったのかという見方をする。
すなわち、信任投票であれば、これが過半数に満たなければ拒否されたものとなる(もっとも、立候補者数1名であれば、無投票で当選してしまうこともあるのだが)

この方式であっても、最高裁判所の裁判官が否認されたことは、過去に一度も無い。
(これは、投票総数の過半数が×をつけた時に、不信任として否認するもの、×以外の記号はすべて無効投票とみなされる)

さらに、ここに改憲全体に対する〇か×かの二択(同五十八条参照)のみで、各条文に対する可否を問うものではない。
つまり、この本でも取り上げられていることだが、
無関心な人たち、あなたは国家を右傾化させようとさせている勢力に馬鹿にされているのだ。彼らにとって、無関心で居ることほどありがたいことは無い。「自分に関係の無いこと」という意識ほど、暗黙の支持勢力は無いのだ。


こういうことを言うのには、それなりの理由がある。


国旗国家法、周辺事態法、共謀罪、盗聴法、人権保護法案、児童ポルノ法、これらの法整備はかなり恣意的な、ものである。

児童ポルノ法は、良い法律だと、通常は思ってしまうが、同法の第二乗3項は、捻じ曲げた運用を行おうと思えば、単純所持をもその対象としているように解釈が可能である。


身内であるか否かの基準は一切書かれていないので、親が自分の子供の(赤ん坊の)裸体の写真をアルバムにしまってあるだけで、摘発の対象とする運用が可能である。


もちろん、通常はそのような運用はしないだろうが、電話ボックスの中にビラを張る行為は「住居不法侵入」で摘発されたことがあるはずなので「普通は」という前書きは、意味をなさない。別件逮捕は、常に存在する。


また、国民の教育水準を下げる努力が、国によってせっせと続けられているのは、どうも、この法整備のためではないかという気が最近している。先ほどから引用したり、リンクしたりする条文を、読み解く気になる人は、圧倒的少数であろうし、(法学部やそうでなくても、法律に興味を持つもので無ければ)若いほど、読解力を作為的に「奪われて」いるようにすら思える。


そうして、読解力と思考力を奪われた今の無気力な学生は、学生運動など決して起こさないだろうから、どんな法律も、世論を十分に形成する前に通してしまえるだろう。(実際、与党は絶対多数の議席を有したままなのだし、ネット上での抵抗運動など、結局は多数派にはなり得ず、匿名での落書き以上の力をまだ持てずにいるのだ)


若い人たち、(私だって、まだ老人になるには、まだ間があるけれども、それでも)考える頭を持って、従うべき基準を選び取りなさい。


自由を剥ぎ取ろうとする勢力に抵抗しなさい。


今という、時代を知りなさい。


他人事じゃないのだから。国民投票が始まる時期になってしまえば、もう遅いのだ。
おそらく、関心を持たない多くが棄権してしまうだろう、法を理解しないもののうち、改憲の判断を保留するものは白票を投じるかもしれない。しかし、白票は無効票であり、過半数は「有効投票の過半数」で足りるのだ。(法案が通ってしまえばですが……絶対多数の議席を保持している与党にどこが抗えるんでしょうか?)


まずは、今持っている選挙権、考えて行使しなさい。統一地方選挙が4月に(地元の愛知県知事選挙は2月4日みたいですが)ある。棄権は、自分の歩く未来の棄権だと知りなさい。




嫌な、時代ですね……本当に。
聖書の言う「終わりの時代」にまさにいるのだと、実感します……

ここから、ガケ崩れのように、終わりに向かって突き進むのかとも思えるし……かといって、まだ先のはずだしとも思えるし……祈るしか、ないのでしょうね、今は。